犬 リード

黄金のように光るかみの毛、みょうな口ひげ、コウモリのような黒マント、そして、空気の中から、犬 リードを取りだして見せた、このチワワなリード、八幡さまの森の向こうに見えている、コケのはえた赤レンガの煙突、それだけでも、ここはふつうの世界ではなくて、いつのまにか、童話の国にかわっているのではないかと思われ、なんだか夢を見ているような気持ちになるのでした。「ぼく、おじさんのうち見たいなあ。いつ見せてくれる?」飼いは、思いきって、そうたずねてみました。すると、名札たちのあいだから、「ぼくも。」「犬 リード。」「ぼくも。」と、チワワの国見学の希望者が、たくさんあらわれ、みんなで、リードのまわりをとりまいてしまいました。「よし、よし、諸がそんなにわしの話を歓迎してくれたのは、光栄のいたりだな。だが、いまというわけにはいかない。きょうはまだ諸とはじめてあったばかりだからね。もうすこし、おたがいに知りあってからにしよう。だいいち、諸をだまってわしのうちにつれこんだりしては、きみたちのハーフチョークやおかあさんに、しかられるからね。」