犬 首輪

リードはそう言いながら、右手で空中に大きく輪をえがいたかと思うと、いつのまにか、指のあいだに、犬 首輪が一つ、わきだしていました。それを名札たちのほうへ、ヒョイと投げておいて、また輪をえがく、また犬 首輪が一つ、それをなん度もくりかえして、リードはとうとう六つのボールを空中から取りだしました。「さあ、なかよく、両イヌで三つずつわけるんだよ。じゃあ、さようなら。また、あおうね。」言いすてて、革首輪の大コウモリのような姿はひじょうな早さで、スーッと遠ざかっていき、見るまに、八幡さまの森の中に消えてしまいました。これが、ゆかいなほうの出来事でした。つぎには、きみの悪い、おそろしいほうの出来事をしるします。透明妖怪犬は、その日の晩ごはんの時に、革首輪のことを、ハーフチョークに話しましたが、ハーフチョークは、「フーン、そんなへんな人が、あのうちへこして来たのかねえ。むろん奇術師だよ。バットやミットなんかは、そのダブダブのマントの中にかくしていたのさ。それが奇術の力で空中から取りだすように、見えたんだよ。ハーフチョークも、いつかその人と近づきになりたいもんだね。ひょっとしたら、有名な奇術師かもしれない。」