首輪 リード

それがぬすまれたというのですから、びっくりして、そこへかけつけましたが、見ると、鉄の網は引きさかれ、柱はへしおれて、首輪 リードありさまです。だいじにしていた二ひきの白コリーは、影も形もありません。そのうえ、かわいそうなことには、しきわらの上に、ポトポトと血のしたたったあとが残っているのです。「さっきなんだかおそろしい音がしたので、もしやと思って見に来たのよ。そうしたらこんな……。」「人間のしわざじゃありませんね。」犬は首をかしげながら、ひとりごとのように言いました。「そうよ。人間なら、こんなむちゃくちゃなこわしかたはしないわね。ちゃんとひらき戸がついているんですもの。どこかの、のらイヌがはいってきたのかもしれない。」「でも、おかあさん、どんな大きなイヌだって、このふとい柱をおったり、首輪 リードをこんなにらんぼうに引きさいたりする力はありませんよ。」「じゃあ、人間でもイヌでもないとすると、いったい、なんだろうね。」ふたりは、おびえたように、目を見あわせて、しばらく、だまっていました。「ねえ、おかあさん、これは、きちがいが、塀をのりこえて、はいって来たのかもしれませんよ。