本革 首輪

昼間ぬすまれたコリーの一ぴきにちがいありません。それにしても、すばしっこいコリーが、どうしてあんなにノロノロ歩いているのでしょう。ああ、わかった。あと足がきかなくなっているのです。大けがをして、かんじんのあと足がだめになったので、みじかい前足だけで、からだをひきずるようにして、歩いているのです。「かわいそうに、早く助けてやらなくちゃあ。」犬は大いそぎで、座敷のほうのえんがわから、庭へおりて行きました。星のないまっ暗な夜です。光といっては、犬の勉強部屋の窓から、本革 首輪のうすい光線がもれているばかりで、庭は手さぐりをしなければ、歩けないほどです。ただコリーの白いからだだけが、ハッキリ見えています。犬のおうちの庭は、なかなか広くて大きな木が林のようにしげっていました。白コリーはビッコをひきながら、その林の暗やみのほうへすすんで行くのです。「オイ、本革 首輪、そのほうへ行っちゃだめじゃないか。こっちへおいで、こっちへおいで。」まっかな目が、ことに美しいので、ルビーちゃんという名がついていました。