犬 首輪

犬は、かなしばりにあったように身うごきができなくなって、宙に浮く、首のないコリーを見つめていました。すると、つぎには、コリーの前足と胸のへんが、何かにのみこまれたように消えうせ、しばらくすると、あと足のほうまで、すっかりなくなってしまいました。そして、一ぴきの白コリーが、犬の目の前で、完全に消えてしまったのです。じつに、とほうもない想像ですが、庭のやみの中に、人間の目には見えない、犬 首輪というようなものがいて、コリーをつかみとって、頭からたべてしまったのではないでしょうか。犬は、ふとそんなことを考えると、ゾーッと気が遠くなるほどの、こわさにおそわれました。どうしてうちの中へかけこんだのか、もう、むがむちゅうでした。犬の知らせでハーフチョークは、大きな犬 首輪を持って、庭へ飛びだしてゆかれました。そして、木のしげみの中を、くまなくさがしましたが、コリーは影も形もありません。そればかりか、おそろしいことには、ちょうどコリーが消えたあたりの地面に血が流れ、草の葉をまっかにそめていました。「おや、これはなんだろう。」ハーフチョークはビックリして、そこを電灯でてらしてごらんになりました。血の流れているすぐそばに、一本の大きなマツの木があります。そのマツの幹の、地面から一メートルばかりのところに、ひどい傷がついているのです。